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本「木曜日に生まれた子ども」ソーニャハートネット

マンデーチュースデーウェンズデーアイウォズボーンふふふん

ソーニャハートネット、今集中的に読んでる作家。1968年オーストラリア生まれ、在住。ソーニャは本名なのかな。ソーニャというと罪と罰、ラスコリニコフの天使だった少女の名前です。いいイメージ。
3作目の読書となる木曜日、どうでしょう。

前2作(銀のロバ、小鳥)に比べると、すごくダイナミック。動きがある。音も聞こえる。においもある。いわゆる臨場感、時間の経過とか現実感が、ある。そしてすごく胸糞悪い。
戦争で負傷した父親は戦争年金みたいな「土地」をもらう。金鉱をあさったあとのかれた土地。牧場も畑も作れず、野性のうさぎを刈って満足してる。貧乏人の子沢山でこどもたちはおおきくなるのにわなにかかったうさぎを食べるだけなのでみんな飢えてる。くつは穴。貧乏。兄ディボンは馬を飼いたい。農場主のケイブル家に奉公に行くが怠け者なので首になる。祖父が死んでわずかな遺産がもらえ、牛と馬を買ってくる。ここの土地は牧場にはむかないらしい。牛の数を増やすことが出来ず、飼ってるだけ。馬はかわいがられてる。姉のオードリー、書き手のハーパー。弟のティん、ティンは、川の土砂に潰されて死に掛けたが、一緒に倒れた木の根が空気の部屋を作ってくれて生き延びた。それから土をほるモグラ人間になってしまった。土をほる。ほったつちの世界で眠る。めったに地上にでてこない。ありえることではないけと、とりあえずそういう設定。ところが最後にはティンが一家の全能神みたいになってる。みんなのしらない陰謀をなんでもしっていて悪者には成敗を、貧乏家族には贈り物を。まるっきり納得できない。途中までは胸糞ながらもダメオヤジのだめっぷりにむかむかしながらさらなるひどさにどう決着するのか読み進んでいたが、結末は実にお粗末だった。それでいいんだって感じ。ティンはなんでもできちゃう子みたいな、なんだそれ。
馬のチャンピオンは、子供たちの自立の犠牲になって、牛追い人に売られる。年寄りのチャンピオン、貧乏一家のやせた土地でのんびりしてるかディボンに乗られる程度のことしかしてなかったのに、重い荷物を背中に積まれて、何千キロも旅をする人生になってしまう。牛たちは、泥棒に盗まれて、行方がわからない。ばかオヤジのせい。いやなことがあるたびに酒を飲む。そのうち起きてる間は酒を飲むになる。死ね。オードリーはケイブル家の家政婦になって働くが、給金は酒に換わってしまう。こんな父親いらない。けれど、子供は子供なので、父親がいなくなるのがこわい。父親は自分たちを守ってくれると信じてる。大人になれば、いらない人間だとわかっても、子供のときは親がいなくなったら生きていかないのだとおそれる。子供にとっては親は目印なんだ。オードリーがケイブルに襲われて、父親は散弾銃をもって復讐にいく。ブタをつるして内臓を抜く部屋で、おそらくケイブルは殺されティンの地下帝国にはこびこまれ隠滅された。
プロローグが土砂崩れ、湿った土のにおいから始まり、一家の生活はウサギの血のにおいにあふれている。いつもウサギのシチューだ。湿った、獣のにおい。ブタの、血のしたたる内臓のにおい。うすら汚い子供たちのにおい、酒臭い父親のにおい。においが本のページにじめじめしみついてる。
物語が終わって、ハーパーは21歳になってもう一度でてくる。興ざめである。読んでる間はおもしろかったかな。末の弟はろくな目にあわないだろうとおもってはらはらしてたけど、やっぱりそうだった。馬も、きっとかわいそうだと思ったらそうだった。貧乏人に飼われてもいいことはない。貧乏人からは生まれてきたくない。じゃないかなあ。
参考に マザーグースの曜日の歌
Monday’s child is fair of face,
Tuesday’s child is full of grace,
Wednesday’s child is full of woe,
Thursday’s child has far to go,
Friday’s child is loving and giving,
Saturday’s child works hard for a living,
And the child that is born on the Sabbath day
Is bonny and blithe, and good and gay.
木曜日に生まれたこどもは遠くに出かける、あるいは苦労をする などと訳されてました
曜日を暗記するための詩なので、曜日と運命の関係性はないはずです。
月曜日や火曜日に生まれた子供、というタイトルではなしに、DBも木曜日に生まれたこどもを歌ってますけど、ファーツーゴーがかっこいいのか、土曜日がやだというのはよくわかる。月曜はイケメンか美人、火曜は貴族、お金持ち、水曜は泣き虫弱虫甘えん坊、月火水の子は物語にはなれなさそうですね。金曜の子も愛されて恵まれて、土曜は働きづめ。するとやはり木曜がかっこいいのか。物語性がありそうかな。GOがいいね。どこかに行く、水は流れなければ腐る。どこかに行かないと。

DBの歌詞
"Thursday's Child"

All of my life I've tried so hard
Doing my best with what I had
Nothing much happened all the same

Something about me stood apart
A whisper of hope that seemed to fail
Maybe I'm born right out of my time
Breaking my life in two

[CHORUS]
Throw me tomorrow
Now that I've really got a chance
Throw me tomorrow
Everything's falling into place
Throw me tomorrow
Seeing my past to let it go
Throw me tomorrow
Only for you I don't regret
That I was Thursday's child

Monday Tuesday Wednesday born I was
Monday Tuesday Wednesday born I was
Thursday's child

Sometimes I cried my heart to sleep
Shuffling days and lonesome nights
Sometimes my courage fell to my feet

Lucky old sun is in my sky
Nothing prepared me for your smile
Lighting the darkness of my soul
Innocence in your arms



ソーニャの翻訳された本はあと2つ、サレンダーと真夜中の動物園 です。
いまのところ、小鳥、ロバ、木曜日の順でよかった。木曜最低笑()
by kumaol | 2014-06-16 21:28 | 雑記