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本「クリスマスの幽霊」Rウェストール

化学工場に勤める父を持つ少年、父親にお弁当を届けてあげるのが楽しみだ。化学工場の創設者オットーさんは初期に事故で従業員3人を亡くしどん底から再び這い上がった。オットーの死後、工場ではオットーの幽霊が現れると事故が起こる、よくない前触れとササやかれていた。その噂を知らない少年はエレベーターの中で幽霊を見て父や父の同僚たちの前で報告してしまう。雰囲気が悪い。どうして。事故が起こる前触れなのだ。ある日突然昨日まで一緒だった人が死んでしまう。それはぼくのお父さんかもしれない。そうしたらお母さんは未亡人になっていつも黒い服を着て絶対に笑わないんだ。そんなのいやだ。どうすれば。
そうだ、本人に聞けばいいんだ。
守衛の目を盗んで工場に忍び込み、エレベーターで見た幽霊を待っていると幽霊は現れる。オットーさん、どこで事故が起きるんですか。指をさす。その位置を父親に告げると、みんなで調べてくれてまもなく崩落する危険個所だとわかった。未然に防いだ。でもお父さんは不機嫌そうだ。工場のことを子供がわかるはずはないんだ。終わり。

幽霊にもう一度聞きに行けばいいんだというあたりが、面白かった。子供は賢いしなにかしたい、役立ちたい、不幸になりたくないと思っている。そういう、子供らしさが強く伝わってきてよかった。50ページくらいの短編。古い時代の話の空気もレトロクリスマスな感じでよかった。


by kumaol | 2016-12-11 18:19 | 雑記