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本「解錠師」スティーブハミルトン

通りがかりのブログで今年一番面白かった本「解錠師」とあり、タイトルも硬派でミステリがすごいらしいので読んでみた。ミステリ?自分探しの自伝小説みたいななにかだった。仲間たちも何名か出てくるけどつながりは浅く友情物語ではないし、女の子とずっと一緒にみたいににおわせて純愛をほのめかしているけれどひかれあうなにかが見えてこないから一緒になったらきっとすぐわかれるって思う。タイトルと内容が合ってない。原題はThe Lock Artist であるが、アーティストねえ。
ある事件をきっかけに言葉を発することができなくなるマイクル(ぼく)はおじさんに引き取られて暮らしている。いきがった仲間に連れられてフットボールの花形選手の家に忍び込み悪さをするが一人だけ捕まる。更生プログラムで忍び込んだ家の主マーシュの虐待に近い肉体労働をさせられる。裏庭にプールの穴を掘る仕事。家の娘アメリアが見ている。一目ぼれする。マイクルも美少年と言われている少年だ。マーシュは仲間の名前を書けと迫るがマイクルは教えない。マーシュは裏世界の人間とも付き合いがあり富を蓄えてきた。借金が返せなくなっている。マイクルの解錠技術を売り、アメリアに危害が及ぶのを防ぐ。マーシュと共同事業していたスレイドは殺された。アメリアのために犯罪に手を染めるマイクル。解錠の仕事をしつつ悪い仲間たちと同世代の友達となり悪い大人と悪い仲間の一人ずつはつながっていて悪い大人のおおきな大金を悪い仲間たちで横取りするがみんな殺されてぼくも殺される、すんでのところで更生プログラムのときに世話になった警官に助けられる。刑が確定し塀の中だがアメリアは待っていてくれる、とかなんとかっていう話。マーシュが名前を書けと迫るところやマーシュが追い詰められてのっぴきならずにマイクルに弱音をみせるところが緊迫感があっておもしろかった。クライムのベルというにはマイクルが中途半端に一般人で、いくら若くてもほかにくらべたら子供といっても流されすぎなんじゃないかな。解錠できるという人にはないスキルがあり、いつもついそれを披露してしまう。能力を見せてしまう。殺されそうになっても自業自得だ。迷惑を考えないのかな。一緒に暮らしてるおじさんものんきすぎる。言葉がしゃべれなくなったのは浮気していた母親と間男を父親が殺し自分も殺されると箱の中に隠れる。中からふたをして父親は鍵の番号を忘れていたので開けることができない。空気が薄くなって死ぬ。父親は箱ごと川に捨てた。川の水が入ってくる。冷たい。鍵が開けられない。水が入ってくる。箱は安物で蓋には隙間がありこじ開けられて助けられたのだが、トラウマになった。アメリアの興味はなぜ話せなくなったかという疑問だけに集中していて、作品上、マイクルが理由を話すにはアメリアの「どうして」という質問が必要だった、アメリアの必要性はそれだけのようである。だから二人がその後も愛し合う強く求めあうとは思えない。それだけのことを書いていないから。物語をよかったと思うには登場人物を好きになれるかがキーなんだなと思った。

by kumaol | 2017-01-10 21:53 | 雑記