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本「猿のみる夢」桐野夏生

これの前に「抱く女」を読んでいたんだけどつまらなくて断念してしまって今のところの最新作の猿を読んでみたら面白かった。かっこいい桐野夏生が戻ってきた。内館牧子「終わった人」と設定はかぶる。59歳の薄井正明、都銀のエリート銀行員がファストファッションの洋服やに飛ばされるが時流にのって一部上場企業になり自尊心は満足している。10年以上続いたアラヒフの愛人がいる。できのいい長男は結婚して地方に行きニートな次男とゴルフに夢中な妻がいる。妻がゴルフグループの会長の知り合いの長峰というあやしい老女を家に引き入れる。悩みや人生の問題を「夢見」で解決してくれるのだという。いんちき老女め。ところが誰もしらないことまでぴたりと言い当てたりして薄井は気味が悪い。会長の娘婿が社長をしているが社長にセクハラ疑惑がおこった。掲示板で暴露されたのだが会長秘書の朝川が書いたのだ。秘書が社外に社長を売ったりしたら免職ものだ。朝川に頼られてセクハラ被害者との交渉にあたりうまく収める。長峰を追い出したら妻が長峰の家に泊まりに行ったので愛人の家に泊まると、翌朝認知症だった母親が死亡したと妹から知らせがあり相続問題が勃発する。土地を分割して二所帯を建てようとしている計画だったのが母親側の土地はすでに銀行の担保になっていて介護と病気の現金に消えていた。妹の家が建っている土地を取り上げて半分に分けるしかない。しかし母親は妹にすべて譲ると遺書を書いていた。長峰は夢の託宣で、今日ならば遺書を見つけて捨てることができると教える。その通りなら50万振り込むように。遺書はあった。処分した。なかったことにして支払わない。母親の葬式に愛人が来て妻にばれる。離婚を言い渡されてウイークリーマンションに移る薄井。愛情はとうにないのだから愛人と結婚してやるか、それとも朝川と恋人になってもいい。どちらの女からも見捨てられる。ATMで現金を下ろすと400万も減っている。妻が長峰にお礼を支払ったのだ。疫病神の長峰。長峰の自宅は青山にある豪邸で、田中という表札だった。深夜に飲み比べになる。夫の田中は長峰は乗っ取りに来た知らない女だという。長峰は私の夢のおかげで田中はここまで財を成した、薄井さん、私と組みませんか。びびる薄井。取り戻しはあきらめる。会社は吸収されることが決まった。常務になれるといいななどと浮かれてる時ではなかった。くびが危ない。社長のセクハラは掲示板だけではすまなかった。社業を継続するために経営から退いたのだ。無職になるかもしれない薄井。長峰の家に行ってみると表札ははずされて無人の家になっていた。終わり。というまあ、占い師(夢見)の長峰の部分がオカルトだが、彼女の登場場面は面白かった。すごみがある。桐野さんの書く登場人物ではアイドルに分類されるキャラ、男をあやつり男を支配する女だった。薄井のまわりには、妻(義母と義妹が嫌い)、妹(妻と仲が悪い・旦那は覆面作家で裕福)、愛人美優紀(実家が金持ち派手ブランド好き)、会長秘書朝川(浅慮だが損得勘定に長けている。演技派。とぼけ上手。利用できる男は利用だけする)、長峰。
長峰は次回作があると面白い。
59歳という設定なんだけど59ってこんなかなあ。12年くらい前なんじゃないか。愛人とか、いまでもいるんだろうか。気持ち悪いな。おやじ中年初老の話と思って読むとうんうんて感じなんだが、同い年、ちょっと想像できない。みゆきとのラインは「みゆたん」から始まってギャグもいいとこ、笑わせてくれる。薄井が不幸になれ不幸になれと思って読んでいたので不幸になったようでよかった。テンポの良い進行とリアリティある会話で読みやすく先はどうなるのかの興味が尽きることなく面白かった。ドラマで見たい。

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NHK杯の抽選に応募した。3日ともアタレ。ファイナルの名古屋はツアー申込しようと待っていたがJTBが16-17万新幹線なし、近ツリが188000新幹線ありで、予想より高かった。ツアーに当たれば4戦すべて見れる。Jと近とどっちがいいだろう。ホテルに一人で3泊もして暇すぎそう。マリンがSPのタンゴをやめてピアノ曲に変えるらしい。タンゴに自信をなくしたのかな。振付1つ100万というけどもう100万かけて変えられるのだからお金を気にしないというのは素晴らしい。そうありたい。
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急に涼しくなってもう夏は終わりかしら。眠くてしょうがなくてよく寝れる。CDジェリーマリガンライブインアムステルダム1956。ジャズは1956でも古さを感じないのはジャズに詳しくないからか。Jマリガンは思ったよりも甘ったるいジャズだった。メロディアスでリズミカルだった。もっと絶望的かと思った。

by kumaol | 2017-08-31 22:43 | 雑記