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DVD「永遠の0」百田尚樹

ほぼ原作通りだった。144分。ゼロ戦がおもちゃかと思った。
本は面白かった。勢いがある文章で一気読みした。だが映画になって人間が動いてしゃべって演じてストーリーを作っていくと、わざとらしかったりありえなかったりおかしかったりするところが結構あって入り込めなかった。
姉(吹石)と弟(三浦春馬)が気持ち悪い。姉が弟をひじでつついたり目くばせしたり夜遅く車で迎えに行ったりするのが気持ち悪い。頼りない弟を演じていて頼りなく見えたのでそこは成功している。気持ち悪い姉弟でなじめなかった。
会ったことも見たこともないおじいちゃん宮部久蔵(岡田准一)とはどんな人物だったかと調べ始めるのだが、弟はおじいちゃんが血のつながったおじいちゃんじゃなかったことも初耳だった。小隊の仲間や教官時代の教え子たちから話を聞く。だんだんと祖父の姿が見えてきて、「おじいちゃんは家族を捨てたんじゃなかったんだおばあちゃんとママを愛していたんだ」と強く結論づけて、うるうると泣く。会ったこともないのに。立派な男だったという話を聞いて(初めにあったころの男たちは臆病者恥ずかしい男と言っていたが、最後のほうには批判はなかったことにされる)都合よい。そこはまあいいけど、休暇で日本に帰ってきて一緒にふろに入った話を聞いて母親(風吹ジュン)もうるうると泣く。あたしはお父さんに会ったことがあったんだ。うるうる。なんで泣けるかな。ほぼ知らない男ですよ?そして孫たちの姉弟も、「おじいちゃん・・・」と言って泣く。観客がぜんぜん悲しくないのに役者が泣いてるからお笑いだ。話を聞かせる男たちは見るからに貧しそうな男(平幹次郎)はかーぺっと痰を吐いて批判する。大会社の社長になった山本学は宮部さんこそ日本のために生きて帰ってほしかったと絶賛する。立派な社長室で皇居(かどっか)を背景にして立つ山本学が胃腸薬のCMにしか見えない。組の親分になった男も宮部は男の中の男とかドヤ顔で言う。えらそうに。百田が好きそう。だからとにかく長くて長くて退屈だった。青空はきれいだった。戦地に行くまでに3時間ずっとゼロ戦に乗り続け交戦時間は10分ですぐに戻らなければ燃料がないというセリフがこわかった。3時間の往復をずっとゼロ戦の中にいなければいけない、つらかっただろうこわかっただろうとそこは実感した。戦争は絶対いやだ。戦争になったら選択の自由がない。ぎゅうぎゅう詰めの電車でも乗れと言われたら押し込まれて乗らなければいけないという想像。歩いていくとかタクシーとか行かないとかの選択ができない。絶対いやだ。教官時代に、生徒たちは臆病者の噂を知っていたし戦地に行くための可をつけないのでうらんでいた。生徒の一人が爆発で死に、機体を無駄にした犬死したと上官にののしられるが宮部はそんなことはありませんと口答えする。上官は宮部を殴り続ける。そのご、宮部を馬鹿にしていた生徒たちは「教官!」と慕うようになるのである。ありえなくない?臆病者のバカ教官というのであれば、上官と同じように考える洗脳があったのではないかな。犬死してばかめと思うのが流れでは。得にならないところで口答えしてどうなると思うのが流れでは。それがみなさんのろまの亀のように「教官!」ですよ。安い。
一応主題は貫くだと思って見た。たった一人でも、信念を貫く。ひとり自治区。ひとりだけ違うことを恐れないてところ。松本だったらおもしろかったのに。

by kumaol | 2017-04-29 21:37 | 雑記