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本「マツの木の王子」「ゼブラ」

マツの木の王子 the Pine Prince and the Silver Birch
出だしからすごく読みやすかったです。ワクワクしながら読みました。松ノ木は森の貴族、王族で、白樺は鳥にくわえられて食べられる予定だったのが落っことされた種だった、マツの王国に根付きます。マツと白樺は身分違いなので、マツ族は念力できこりをよび、白樺を切り倒そうとするのですが、切り倒されるのですが、マツの王子も一緒に切り倒されるのです。白樺娘とずっと一緒にいるために。
二人は材木になり、材木商の元で買われるのを待っている。くるみやぶなの木材たちは、立派な家具になることを楽しみにしている。マツと白樺は、家具になれるような木ではなく、しかもふたりは若いので薄っぺらで小さい木材なので、「せいぜいたきぎかマッチか紙」にしかならないときいてがっかりします。この木材売り場の描写はおもしろかったです。木材がなにになるのかというのを知ることが出来て、木がなにになれるのか楽しみにしているというのがおもしろかった。王子と娘はびくびくして待つことになります。
買ってくれたのは彫りもの師のおじいさんで、動物を作っている人でした。おじいさんの倉庫にはネコや犬、ふくろうやブタなどがいて、真夜中になるとしゃべりだす。王子と娘はなんの動物になるんだろうと心配と期待で質問するのですが、ネコにはならない、猫柳じゃないもの。犬じゃないね、ハナみずきじゃないもの。などとだじゃれのようなことを言う。ここでもいろんな木の名前が出てきておもしろかった。
マツの木の王子は黒いつやつやした黒馬に、白樺の少女は銀色のほっそりした美しい鹿になります。日本語だとあぶない組み合わせですね。でも挿絵はとてもきれい、幻想てきなカップルです。美しい馬と美しい鹿のふたりは、動物たちの中でも人気者になります。おじいさんの作った動物たちはジプシーの魔法がかけられていて満月の夜には踊ったり動いたりしゃべったりできる。みんな満月の夜を楽しみにじっとしているのでした。
冬の日おじいさんが倒れてしまい、病院代のために黒馬と銀の鹿は売られていきます。ジプシーの魔法はおじいさんの敷地内でしか効かないので、外の世界にでたらふたりは動けない木の人形なのです。サーカスの座長に買われた二人はメリーゴーランド用の貨車に乗せられ、どうやらメリーゴーランドになるようだ。あら楽しみ。二人一緒ならどこでも楽観的な二人だったのですが、メリーゴーランドはいるかといるか、ライオンとライオンというように対に設置されていき、王子と娘は真ん中の太い棒のこっち側とあっち側に対極に固定されてしまうのでした。お互いの姿が見えなくなり、二人はめそめそ泣きます。子供たちに喜ばれるのはうれしいのでメリーゴーランドになるのはうれしかったけれど姿が見えず話もできず。めそめそ。ふたりは具合が悪くなりきしんでしまって、お払い箱になります。不用品置き場に捨てられたところ、メリーゴーランドでファンになった子供たちが探しに来て助け出してくれる。町の公園に二人並んでいられることになる。子供たちは大人になり、何年も過ぎ、二人は生まれ故郷に戻ってみたいなあと思いました。そして。突然、ふたりは永遠に一緒になる結末を迎えるのです。
メロドラマだったと思います。あらすじを書いてみるとなんだという感じがするけれど、愛し愛されるっていいなあと思う。究極は一緒に生きて一緒に死ぬことですから、嫌われるより前に一緒に死にたいし、好きじゃなくなる前に一緒に死にたい。やっぱり恋人がほしいなあと思ってしまう本でした。

「ゼブラ」
金原さんの和訳をいっぱい読んでるなと気づいた一冊。短編集。少年か少女が主人公で、親とか祖父とか、家族が出てくる。家族と子供の話。金原さんの翻訳する本はソーニャのほかにこのハイムポトクを読んだけど、雰囲気は似てる。淡々とした描写、かすかな心理の動きを丁寧に描くとか、そんな感じ。ゼブラは交通事故で走ったりできなくなるしうでもうまく上がらない。美術のアーティストが飛び入りでサマースクールの先生をして、特に働きかける訳じゃないけど、なんとなく絵を描いたりして、気分が晴れるみたいな、ちゃりんとちいさな音が鳴るような話。全体に子供と親との会話が多くて、外国の小説は子供と親がよくしゃべるなあって思う。父親と話すとか、日本じゃないような気がする。母親だって、友達じゃないし、母のプライベートとかない。うちだけかな。普通の話というより、海外ドラマの話みたいだった。きれい、なのかな。他の作品を読みたいとは思わなかった。

「サレンダー」2回目もう少しでよみ終わる。でも、わからずに終わってしまいそうだ。「最後にあかされる秘密」と「発見された骨は誰の骨か」を明らかにしたくて読み直してる。ちゃんと書かれているのか。あおり文句なだけか。金原さんに正解を聞きたい。国語のテストをとくとき、先に問題を呼んでそれから文章を読むのが長文問題を解く技と教わった、ふたつの答えを探しに読み直している。ところで、そもそも読み直すほどおもしろくないんじゃないかって思い始めてる。エヴァンジェリンがかわいいとは思えないし、かわいくない少女ともともと親しくもないのに恋したとか思い込んでるアンウェルはあほくさいしそれに嫉妬したフィニガンもヘンだ。セアラは誰だろうというのも解明しようとしてみてるけど、叔母ではなく看護婦でもない誰かわからない。犬のサレンダーだって放し飼いで飼われていたとかみんなヘン。もしかして雰囲気だけの小説なんじゃないだろうかって、思う。ちゃんとびしばしっと整理できてる話なのかな。理解力がなさすぎなのか。
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by kumaol | 2014-07-21 21:10 | 雑記