本「殺人者の涙」

金曜日の犬の様子。アップ中にフリーズして記事も消えたのでもう一度。目は治ってきたカナ。今はぱっちり開いてる。白目は赤い。黒目の角膜の穴もふさがるまでもう少し。
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殺人者の涙
アン=ロール・ポンドゥ 伏見操訳 小峰書店

聞いたことのない作家、聞いたことのない会社の本、表紙に魅かれて読んでみたら、とてもおもしろかった。




南米チリの地の果てにある愛情のない家、父と母は父と母として登場して名前はない。「これといった愛情もなく、ただなんとなく繰り返される愛の営みから生まれた子」パオロが主人公だ。この地の果ての家には天文学者や地質学者が泊まりにやってくるが、物語のためにやってきたのは殺人者アンヘルだった。物語は早くも急展開し、アンヘルはパオロの両親を殺す。子供は、殺さなくてもいいかもしれない。食事を作らせたり役に立つだろう。二人の生活に、父親の遺産で世界旅行をしようとしている青年ルイーズがやってくる。3人で暮らし始める。農場に、羊や馬がほしい。市場に出かけた3人、そこでルイーズは画家と恋仲になり、アンヘルは手配書が回っていて危険を感じる。アンヘルはパオロをつれて逃げる。家族をなくしたきこりのリッカルドの家に隠れる。リッカルドは二人を歓迎し、一瞬の静かな生活があったが、警察がアンヘルを追ってきてリッカルドをアンヘルと間違い射殺してしまう。とまあ、美しく静かな文体なのですがあらすじだけ書いていくと血のにおいがいっぱいです。アンヘルがなぜパオロを殺さないかというと、殺すことに理由がないので殺さないことにも理由はない。パオロと一緒にいるうちにパオロに好かれたい、パオロに父親と思われたいというおかしな欲望がでてくることに気づく。殺人者なのに。人恋しいなんて。戸惑うアンヘル。一方、親の愛情を知らないで育ったパオロは、自分のことをルイーズと取り合おうとしたり張り合ったりするアンヘルに愛情を感じていきます。市場で買い物をする前にルイーズのオカネを銀行からおろすのだが、「アンヘルはつかまるからここで待て」と言われると、「じゃあパオロもここに置いていけ」と対抗する。「子供と一緒のほうが銀行は安心するんだ」らちがあかないので、パオロは「ぼく、銀行を見たいな」と気を利かしてルイーズと一緒に銀行に行く。不安になるアンヘル。パオロに選ばれなかった。がっかり。銀行は見たこともない美しい場所で、水が出てくる水のみ場があり、女性銀行員はやさしい微笑を投げかけてくれる。黄色い飴をもらったパオロは、その飴をお守りにする。ルイーズとデリアは一緒の部屋で寝起きし、デリアに甘えたかったパオロは、突然自分は母にも誰にも愛されてなかったと気づく。そして出かける。姿が見えないことに気づいたアンヘルは、探しに出て、大騒ぎしながら探し回ったので人目につきのちに警察に追われる原因となる。海のがけにいるパオロを見つけ、飛び降りるというパオロ。「死ぬの」なぜ死にたい?  というクライマックスなシーンがあり、パオロがとんでもなくかわいかったです。
人は変われるというテーマが縦にあり、人は人の愛によって生かされるというテーマが横にありました。こういういい話は月並みな最後で終わることが多いですが、最後まで、パオロが誠実でよかったですね。いいお話にめぐり合えてよかったと思いました。暗がりと、砂埃と、遠くの星と、さびしい男の子という南米のイメージがますます強くなりました。

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by kumaol | 2014-12-02 20:46 | 雑記 | Comments(0)

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