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手は残しておく

できることはあとに残しておく〔馬への合図)
どういうことかというと、初めから強い扶助を与えてしまうとそれ以上の扶助ができない。すぐに限界になってしまう。限界になったら、なにもできなくなる。だから「手」は残しておく。
止まりたいとき。「ほーほー」の声で止まるならそれが一番馬にやさしい。馬だっておなかぎゅっとされたり口引っ張られるより声だけで止まりたい。ホーホーって補助的につかうものであって「正式ではないんじゃないの」というのがあたしの常識だった。「声だけで止まれたら馬だって楽。人間も楽でしょ」確かに。その通りです。ホーホーで止まってくれたら、ベリグッド。次に、姿勢を正す。姿勢を正すと骨盤の位置が変わるので馬にはわかる。馬がわかるまで、馬が考える時間をちょっと与える。止まればそれでよい。次は、重心を下にする(尾骨を押し付ける感じに見えた)重心が下になるととまれの合図とわかる。それでもだめなら、手綱をぎゅっとにぎる。引っ張らない。我慢する。それでダメなら、へその位置で手綱をぐっととめる。ひじをかだらのうしろに引く。ここまでやったら、これ以上はできることがない。こぶしを堅くしてひじをひくのは最後の最後だ、ということを教わった。最初にこぶしを堅くしてひじをひいたら、そのあとになにができるか。できない。
元気よくあるかせる、違う歩様に進行させるとき、なにをするか。足をうしろにする。足を長くする。これで骨盤の位置がかわるので、動くということが馬にわかる。次に、ふくらはぎでぶつ。ふくらはぎでぶたれると、次にくるのが堅いブーツの底だと馬は知っているので、靴でぶたれたくないから動く。馬はちゃんとわかっている。それでもさぼるようなら、靴で合図する。それでもにぶかったらむちをしならす。予告なくひゅっとうつ。足の合図が効果的であるには、通常は足でしめないでいることが大事だ。足でしがみつかない。足で刺激を与え続けない。不意に、ポーンっと蹴られて刺激がくるから馬は仕事しなきゃっと気づくのだ。
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かわいいさくらちゃんは食いしん坊。いつも飼い葉おけはカラです。






足を長くする、足を後ろに、というのはクレインでもいわれていたが、長くしてと言われるとうんうん脂汗を流しながら足を下にむけて力を入れていた。足を後ろにと言われるとかかとのあたりを後ろに引いていた。そうではなかった。この二つは同じことを意味していて、極端に言えばふとももを地上に垂直にということだ。膝を下になるように、太ももを縦にするということだ。すると骨盤が立つ。足を後ろに、というのは前に折られた太ももをうしろに伸ばすようにして、ということだったようだ。要はまたがる座り方とでもいうか。
さくらちゃんはわがままやんちゃな子なので、この人乗れないなとわかるとまたがったとたんに出入り口に走る。どう対処するか。どちらか片方の手綱を短く持つ。もって我慢する。片方が短いと、馬は短くされた方向にくるくる回るしかない。その場マワリである。勝手に移動されない。
さくらちゃんの鞍なしアブミなしレッスンは、加納さんが調馬策を持って、「きれいな円を描いてまわって」という課題。できない。ふらふらされて、出入り口に近いところでは出入り口に向かって円を完璧に破壊される。だんだん加納さんに近づいて円じゃなくて点になる。「加納さんが好きだからヨッテッチャうのかな」「ちゃんと誘導しないからだ」そうなのかな。まだまだ半信半疑だった頃。手綱がゆるい、右左で長さがちがう。右左でちがう長さで手綱をもったりこぶしの高さが右左でちがったりは「馬にとって失礼なこと」と怒られる。口はうまにとって新鮮な部分なので手綱がどんな状態か馬はわかっているのだと。きれいな円が描けるように馬の動きを薬指で感じ取れ。
手綱の持ち方は、指で作った筒の穴が空に向くような感じで持ちます。親指が真上、小指が真下。馬に負けないように、「腕相撲で勝とうとするときの手首」を作る、手首をちょっと内側に曲げて、指の第二関節どうしが向き合う感じですかね、手首が外に開いていたら馬に負けるから内側に曲げるという。この形を習ったときからしばらくは、負けない形のために肩肘手首に力が入っていた。何をするにも力を入れて何かをしてしまう人である。肩ひじ手首にばりばり力が入っていることを指摘され、「腕相撲で負けてはいけないのでは?」手綱をもつ手は力を抜くそうだ。完全にとまでは言わないが、完全にリラックスして力を抜いてもつこと。こぶしが堅いと堅さが馬に伝わって馬も堅くなってしまう。ストレスを感じてしまう。手綱はやわらかく。負けないように腕相撲の手首で力を抜いて持つ。リラックスを心がけてみたら馬の動きが軽くなった。ぜんぜんちがう。
ひじは体の横につける。ひじは伸ばさない。馬の気持ちを逃がさない。

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とても小さいパインちゃん。人なつこくてかわいいです。50キロまでなら乗れるらしい。

by kumaol | 2015-03-05 22:19 |