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本「7」乾くるみ

湊かなえみたいな感じかと読み始めた。名前の感じが似てるので。似てなかった。7つの短編集、最初は女の子たちの学園物で学園の殺人事件かと思ったら「悪魔と契約して残りの人生の半分を上げる代わりに願いがかなう」とかいういきなりのファンタジー設定。なんとかついていく。7枚のカードをそれぞれがひいて、アタックを仕掛ける。自分よりも「小さい」カードの人にアタックして持ちカードの数字をズバリ当てたら勝ちだ。先攻後攻どちらも当たらなかったらカードを開いて大きいカードを持っている人が勝ちになる。大きいカードを持ってる人は当てたら勝てるし相手も自分も外しても勝てる。勝った人は負けた人のカードをもらう。複数枚持つことになる。複数枚もつから相手がなにを持っているかの当てる確率があがる。というのを数字論理とでもいうのかああでもないこうでもないと推理していくのだけども、悪魔との契約で負けた人はその場で首が胴から離れて転がってしまう。本当に死んでいるようだ。悪魔設定にしらけるのだが全編こんなかんじなんだろうか。と思ったら次からはそうでもなく軽くてどうでもいいような短編が並んでいた。オチでうまいこと言ったつもりみたいな話が続く。ここで予備知識をいれないと読み続けられない限界に来たのでアマゾンと読書メーダーをのぞいてみた。最後のユニークゲームというのが面白いらしい。ほかのみなさんもおすすめしてるように私もユニークゲームが面白かったですなどと並んでいる。ユニークゲームに期待する。数字論理の話という予備知識もあるので数字のうじうじは大丈夫心構え。



7人の兵士たちが不時着してゲリラの捕虜になる。そのうちの一人は王族である。王族のエドガーをふくむ3人と、ほかの4人は別々の陣営に連れていかれる。ゲリラの長はクイズに正解したら助けてやろうという。
0から7までの8つの数字のうち、それぞれが1つを選んで、誰ともかぶらなかったらその者を助ける。(セーフ)誰かとかぶってしまった場合、その数字がかぶらなかった人数と同じだったらその者も助かる。(ご褒美)
0,1,2,3,5,5、7 と選んだ場合、01237はかぶっていないから助かる、5はかぶっているけれどもかぶっていない数字を書いたのは5人、その5を当てているので助かる、というルールだ。
3人どうし4人どうしは話し合いできるが、3人と4人との会話は遮断されている。ここで、6は無効な数字なんっじゃないかと質問すると(6を選んだ場合ご褒美は自動的になくなっているため)使っていいと回答されたので、そのことをあっちのグループにもちゃんと知らせてくれ、と粘る。4人のグループにも「6は使っていい」とわざわざ知らされる。どうやら6は使わないことにしたらしいぞと推理される。彼らは0123457の7っつの数字を使うことになった。6が使わない数字なのだから、偶数と奇数にわけて4人が奇数、3人が偶数を選べばちょうどよい、6をわざわざ言ってきたのはこれだ!と推理されてそう決まりかけるがちょっと待て。本当に6は使わないのか。土壇場で迷う。間違ってどちらも偶数を選んで偶数でぶつかった場合、助かるのは4人チームのうちの一人だけだ。奇数でぶつかった場合は1を選んでおけば3人は助かる。(4人チームは1.3.5.7、3人チームは1は選ぶこととして3つの数字ともペアになってしまうが、4人チームの選んだ数字のうちペアにならなかった人の一人を当てているから、1を選んだ二人も助かる、計3人)、つまり偶数でかぶると4人チームの1人しか助からないが奇数なら3人助かる。軍隊で大事なのは階級であり一番高い位のエドガー王子がいる3人チーム、エドガーを必ず生還させるのは王子は1である。
さらに、3人チームには王子と士官が2人であり4人チームは士官は1人しかいない。軍人の行動規範を前提に考えれば4人チームは3人チームを助けようと思って動くはず。必ず。
と、やけに確信をもって断言する。軍人なら!と言われてしまうとそうなんだーとしか言えない。偶数奇数に分かれるのと同程度の信用度しかないんだけれども、それよりも全員が0を選べばいいのに。みんなが違う数字を選ぶただしかぶってもセーフの人数を当てれば助かる、という問題の中に答えはあったように思う。みんなが同じ数字を選ぶそれは正解者の数を当てているイコール0.ゼロにしようという意見も出るのだが、「あっちがゼロを選ぶという根拠がない」といって却下される。万一あっちがゼロにそろえてこない場合王子が死ぬ。王子を助けるのが第一ということで、どういう場合であっても王子が助かる、向こうも同じ読みだったら全員が助かる、それに軍人には主従関係があり従は主を助けるから4人は犠牲になってもいいと行動するという前提で、選ぶべき数字はなにか。
4人チームは、3人チームが何を書いてきても3人チームが一人でも多く助かるように特に王子が助かるように身を捨てて死ぬ気でやってくれるだろう。3人チームが何を書いても王子は必ず助かりもしかしたら3人とも助かるという数字を書いてくるはず。その数字は、4人全員が2を書くことである。2.2.2.2.。ならば3人チームがばらばらの数字を書けば何を書いても必ず3人助かる。3人は王子が4、中尉が5、兵長が2を書く。4人チームは全員2だ。マジックインキでみんな書き終わった。

順に読み上げられて、4人チームは最初が2、次の人も2、その次も2、やったみんな無事に脱出できるぞ!と、最後の一人は5であった。1985年5月5日生まれ5はぼくのラッキーナンバーだから譲れません。全員2を書くなんていやだいやだ助かりたい!バーン!撃たれて死ぬ。次々に。王子だけが生き残った。

どうでしょう、納得できますか。王子を助けるからとか軍人だからって、みんなほいほい信じちゃってもう疑わないというところがとてもおかしい。3人組を助けるために犠牲になろう、みんなで2だ、と言われてもそれはすごくいい案には聞こえない。推測の域を出ていない。一人だけ助かろうと決めごとを破る者も出てくるだろう。2222で迎え撃つというのが意表をついてすごいでしょって一見すごいけど全員3にしなかった差が明確じゃないし、偶数奇数に分かれるのでも、全員ゼロにするのでも、確実性に大差ないわけで、そこがつまらなかった。考えて推理していくうちに頭が疲れてしまって、これだこれにちがいない、というトランス状態になってしまいああやっぱりあっちにしておけばっとはずれる結果は現実に共通してる点には納得した。選んだ2とラッキーナンバーで死をよびこんだ5を足すと7になるという7のタイトルにひっかけた数字と、4(死)を書いた王子は助かったという数字のダジャレ的な意味があったかどうか。
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王子が何を選んでも王子は助かるということはあるかというとないわけで、相手チームと自分たちチームの推理の到達点が同じだ、と確信できるための推理合戦だったわけなので、数字の組み合わせというのは実は重要ではない。どういう考え方をするか。で、位が高いものを助けるとなったわけだが、納得できないのは、位の高い士官が、「下の者たちは上の者を助けようと行動するだろう」と考えてその考えに安心するところだ。下の者は上の命令には従う。だが上がいなければ上のために行動しようなどするだろうか。階級の上の者は、下を信じてはいけない。だからこそ命令したり規律を守らせたりするのではないか。戦争モノや軍隊物の映画の記憶を探っても上の位のものが「下の位の者たちはぼくたちのために身を犠牲にしてくれるもんね」なんて思ってはいなかったはず。ここがおかしかった。それと王子、足手まといでしかない。王子だけは助かるようにと意見を出していたとき王子は鼻でもほじりながら助けるようにと目線を送っていたんだろうか。おためし経験ではなく軍人として優秀な王子という説明が序盤にあったが、推理ゲームが始まったら空気だった。6は使っていい数字というアナウンスをわざわざさせておきながら6を使うか使わないか結局わからないから考える要素から省くとしながら、偶数と奇数なら偶数だと全滅の危機があるから奇数を選ぶだろうとしながら、それらの考えはいったん反故にしたのに最終的にはちょっとは要素に組み入れている。そしてなぜ2なのか。まったく説得力がない。
推理ゲームなら推理ゲームでよい。だけども、階級が高いものを助けたいというのが疑問でしかない。それも、階級の高いほうのチームが思いついてそうだそうだそうにちがいない、と決めてしまうところ。このおかしな決定は、緊張と死の恐怖によるものだとこじつけることはできるが、心理重視なのか数字論理でおおっと言わせたかったのか、どっちつかず。真面目に考えるようなものではなく子供向けだからこれでいい、というのが一番納得できる。
by kumaol | 2016-05-24 22:58 | 雑記